2002年4月号 老いてなお現役、バディ・ガイ健在!

 65歳といえば普通なら退職して年金生活をはじめる年齢だ。趣味を生かして、孫の面倒でも見ながら余生をノンビリすごす、というのが大方の人達の生き方だろうと思う。ところがどっこい(ずいぶん古い言い回しだったか)この人は65歳を過ぎてもなお世界中を飛び回り、新作を発表しシーンの第一線で活躍し続けている。バディ・ガイがその人だ。毎年1月恒例になっている彼の店<レジェンズ>での集中ライブも今年は16回を数えた。金曜、土曜のライブは全て前売りの時点でソールド・アウト。ウィークデー・ショウの当日券を求めて朝8時から店の前に並んだファンもいたほどの盛況ぶりだ。そんな1月の後半<レジェンズ>にてバディに話を聞く機会があったので、ギタマガ・ファンのために独占取材を試みた!

菊田:こんにちは。お元気そうですね。いまだに年間200回のライブ・ツアーを行い、新作も発表続けるそのパワーの秘けつはどこにあるのでしょうか?

バディ:(ニヤっとして)君は知っているだろうけど、俺はステージに上がる時には、セット・リストも何も作らないんだ。その日の客の表情を観察しながら彼等が求めているものをプレーするんだよ。もちろん彼等を完全に満足させることができないことはわかっているんだが、それでも全力を尽くすんだ。自分の目標は、自分と同じように人々にハッピーな気持ちを味わってもらいたいということさ。
菊田:昨年暮れにはBBキングと45日間に渡るコンサート・ツアーも敢行しましたよね。どうでしたか?
バディ:わかるだろう?俺とBBが一緒になればどこでやってもダイナマイトさ。我々の時代のミュージシャンの中ではBBと俺だけが唯一いまだに長期のツアーを行っている。他は死んでしまったか、すでにリタイア生活を送っているんだ。ジョン・リー・フッカーを失ったばかりだし。自分が生きている間は、ロード生活を続けるつもりでいるよ。
菊田:昨年発表した『スウィート・ティー』は、数多いバディの作品の中でもベストの1枚だと評価する声が多いですね?
バディ:昔の音を取り戻した気分だったね。レコーディングはスムーズに行ったよ。最初は長年親しんだシカゴの音との違いに戸惑ったけれど、プレーを続けていくうちに”これはいいぞ”って思いはじめたんだ。最初は戸惑い、次にうなずき、最後はニッコリ微笑むという感じだったね。あとはファンが気にいってくれることが大切なんだよ。評論家が何を言おうとファンが気に入ってくれなければ意味がないじゃないか(笑)。
菊田:ココ・テイラーのクラブ<セレブリティ>が店を閉めたりと、クラブ経営が厳しい昨今ですが、<レジェンズ>のほうはどうでしょう?
バディ:お陰さまで<レジェンズ>は毎晩多くのお客に来てもらっているのはラッキーだと思う。もちろん日によっては人の入りが少ない事はあるけれど、トータルで見た時にある程度の数字が出ているからね。今年はいよいよ道を挟んで真向かいに、新しい<レジェンズ>をオープンしたいと考えているんだ。地下にはレコーディング・スタジオも作る予定さ。ライブ録音とスタジオ録音の両方ができるような作りにしたいと思っているよ。
(注)現在の<レジェンズ>が入っているビルは市に買い取られたため今年中には立ち退きをしなければならないようだ。
菊田:新作についての予定はありますか?
バディ:カリフォルニアをツアーしている時のことだ。カルロス・サンタナがステージに上がって来て、自分にハグをして言ったんだ”自分があなたをプロデュースしたい”って。”自分に起こったことと同じ事をあなたの作品でも起こしたい”って。
菊田:グラミー賞を総ナメし、プラチナ・ディスクに輝いたサンタナの前作『スーパーナチュラル』のようなスーパー・アルバムを作ろう、と言うことですね。
バディ:そうだよ。彼にその場で言ったんだ。”2回も俺に尋ねる必要はないからね。すぐにその作業を始めてくれよ”って。それが実現すれば素晴らしいね。
 
 いまだにバイタリティあふれるこのパワーはどうだ。<レジェンズ>での集中ライブが終わり、2月から3月にかけて約6週間のカリフォルニア〜イースト・コースト・ツアーに入ったバディ。5月にはジャパン・ブルース・カーニバル出演のため来日もする。そしてそのバディが出演してくれた小生の『シカゴ・ブルース』(リットー・ミュージック)も4月にはいよいよDVDに姿を変えて再び世に出る事になったよ。バディのライブと共に、そちらもよろしく!!See Y'all